生前贈与による相続対策

相続は、被相続人の死亡時の一度ですが、贈与は生前に何度もすることができます。生前贈与をうまく活用することは相続対策としても有効です。
また、贈与には基礎控除以外にも贈与税の配偶者控除などの特例があります。これらをうまく利用して、生前に相続財産を移転することで、相続財産を減らすことができます。

以下のような制度があります

1.年間110万円の基礎控除

贈与税には、年間110万円までは贈与税が非課税とされます。
これを利用して、毎年110万円ずつ贈与をし、相続財産を減らしていくこともできます。
ただし、相続前3年間の贈与は、基礎控除枠内についても、相続財産に加算されますので、注意が必要です。

2.相続時精算課税制度

満20歳以上の子が満65歳以上の親からの贈与について相続時精算課税制度の適用を受けることを選択した場合には、累積で2,500万円(特別控除額)まで贈与税は課税されません。
※平成27年の贈与から親の年齢が60歳に引き下げられ、受贈者に20歳以上の孫が加わります。

なお、住宅取得等資金の贈与については親の年齢制限はなく、親が満65歳未満でも相続
時精算課税制度の適用が受けられます。

相続時精算課税制度は、贈与を受けた人が贈与した親ごとに選択でき、その贈与をした人が死亡するまで変更できません。そのため、原則(暦年)課税方式とするか、相続時精算課税制度を選択するかは慎重に判断する必要があります。
累積で2,500万円までは贈与税はかかりませんが、贈与を受けた財産は相続財産に取り込まれ相続税が計算されますので、相続税が課税されることになります(基礎控除額内であれば、相続税は課税されません)。原則課税方式による年110万円の贈与税の基礎控除額内での長期的な贈与であれば、贈与税は非課税であり、後に相続財産に取り込まれることもありません
(相続開始前3年以内の贈与財産を除く)。
相続時精算課税制度では、贈与を受けた財産が将来的に値上がりするような場合は有利に働くことになりましょう。

3.住宅取得資金の贈与の非課税

満20歳以上の人(合計所得金額が2,000万円以下の人)が直系尊属(父母や祖父母)から平成24年から平成26年の間に中に住宅取得等資金の贈与を受けた場合にはその贈与を受けた資金のうち贈与した年につき、以下の金額について贈与税が非課税とされる特例があります。なおこの適用を受けるためには贈与税の申告が必要です。

  一般枠 特別枠
平成24年 1000万円 500万円 1500万円
平成25年 700万円 500万円 1200万円
平成26年 500万円 500万円 1000万円

特別枠が使える条件…省エネルギー性又は耐震性を備えた良質な住宅
(住宅性能評価書で以下のいずれかを満たすこと)
@省エネルギー対策等級に係る評価が等級4
A耐震等級が等級2以上
B免震建築物

4.教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税

30歳未満の者の教育資金に充てるためにその直系尊属(親や祖父母など)が、平成25年4月1日から平成27年12月31日までの間に、金銭により金融機関に信託党をした場合には、1500万までは贈与税が非課税となります。
ただし、30歳になったら金融機関から税務署に使用状況の報告がなされ、教育資金として使いきれていない残額については贈与税がかかりますので注意が必要です。

5.配偶者への居住用不動産の贈与

配偶者へ、居住用の不動産又はこれを取得するための資金で、下記の要件に該当するものを贈与した場合については、最高2000万円まで贈与税が非課税となります。

@婚姻期間が満20年以上の夫婦間での贈与であること
A居住用不動産か、居住用不動産の購入資金の贈与であること
B贈与を受けた年の翌年の3月15日までにその居住用不動産に居住し、
 以後も引き続き居住する見込みであること
Cこの特例の適用を受けるため、翌年2月1日から3月15日までに贈与税の申告書を提出すること

なお、贈与税の配偶者控除の特例は、それとは別に贈与税の基礎控除(110万円)の適用を受けることができますので、あわせて2,110万円までの住宅購入資金等が無税で贈与できることになります。

また、この特例は、居住用不動産の購入資金だけでなく、現在住んでいる居住用不動産の持分の移転についても適用されます。

生前贈与の留意点

相続の開始前3年以内に被相続人から財産を贈与によって取得した人は、その贈与財産の価額を相続税の課税財産に加算したうえで相続税の総額や各相続人の相続税額を計算することとされています。
相続時精算課税制度を利用した場合も贈与税が課税されていない贈与についても加算して相続税の計算を行なうこととされていますので、注意が必要です。
また、特例等を利用して生前に贈与をした場合は、贈与を受けた相続人と受けていない相続人とを相続時の遺産分けにおいてどう調整するかあらかじめ検討しておくことも必要でしょう。
どの制度を使うと一番有利かは、ご家族の状況等により異なりますので、一度税理士へご相談ください!